ゆらりゆらゆら

「ああぁ｡｡｡て、店長ダメです！」

ドーナツ生地をこねる手が止まる。

よし江は、

いつかこんな日が来ると確信していた。

特にこの夏は日に日にそんな思いが増していた。

それが今朝とは｡｡｡

「い､いいぢゃないか｡他に誰も居ないんだから｡」

「い、いけません!!我慢して下さい!!」

予想外のよし江の強い口調に

店長の三井も少したじろいだ。

「いや、もう限界なんだよ。
　君も本当はそれを望んでいるだろう。」

「そ、そんなそんな｡｡｡私はそんな事は。」

言葉では否定してみても、

連日続く酷暑の中での仕事に

身体は敏感に反応していた。

汗ばむ全身。額から流れる汗。

「よし江さん、私はもう｡｡｡」

三井の手が伸びる。

「止めて下さい、店長!!」

必死に抵抗を続けるよし江ではあったが、

男の腕力の前には

抗い切れるはずもなかった。

「も、もう｡｡｡」

抵抗を諦めかけたその時、

べちゃっ。

「あっ！」

「あっ！」

もみ合う二人の手からエアコンのリモコンが

ドーナツ生地の上に落ちた。

「き、君が急に力を抜くから｡｡｡」

「店長の顔があまりにも怖かったから。つい｡｡｡」

「ま、いいか｡｡｡」

リモコンを拾い上げた三井は、

そのまま温度設定を27℃から一気に19℃へ。

「本当に大丈夫ですか？
　本部の規定では27℃に決められてますけど。」

「ははは。リモコンの故障とでも言っとくよ。」


「それより店長、
　このドーナツ生地はどうします？」

冷たい風を感じながらよし江は訊いた。

「ん～｡｡｡焼いちゃえ！焼いちゃえ～！！」


そんな『ワケありドーナツ』300円～！







宇多津イオン【フロレスタ】さん。

(。・ω・。)ŧ‹"(๑´ㅂ`๑)ｳﾏ－



これ喰って出勤です～ε≡≡ﾍ( ´Д`)ﾉ


一作目
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